10月の乳がん啓発月間:乳房の変化に気づいたとき、どこへ相談すればいい?
10月の乳がん啓発月間に、しこり・くぼみ・乳頭分泌など乳房の変化に気づいたときの相談先を解説。検診を待つべきか、乳腺外科・乳腺科を受診すべきかを具体例で整理します。
乳房に「いつもと違う変化」があれば、次の乳がん検診を待つのではなく、乳腺科・乳腺外科など、乳房を専門に診る医療機関へ早めに相談するのが基本です。国立がん研究センターは、しこり、乳房のくぼみ、乳頭や乳輪のただれ、左右の形の非対称、乳頭からの分泌物などを乳がんでみられる症状として挙げ、気になる症状がある場合は乳腺科・乳腺外科などで乳腺専門医の診察を受けるよう案内しています。国立がん研究センター「乳がんについて」
10月は乳がん啓発の「ピンクリボン」月間です。日本対がん協会は2026年も10月1日からピンクリボンフェスティバルを実施すると案内しています。啓発月間は検診を思い出すきっかけになりますが、すでに症状がある人にとって重要なのは「検診の予約」ではなく「症状を診てもらう受診先」を選ぶことです。日本対がん協会「ピンクリボンフェスティバル2026」

ここからは架空の例として、42歳のAさんを考えます。Aさんは入浴後、鏡を見たときに左乳房の一部が以前より少しくぼんで見えることに気づきました。痛みはなく、しこりもはっきり分かりません。前回の自治体の乳がん検診では「異常なし」で、次の検診までまだ1年ほどあります。
この場合、「前回の検診が正常だったから次回まで待つ」という考え方は適切ではありません。国立がん研究センターは、乳がん検診は自覚症状のない人を対象とするもので、しこり、乳房のひきつれ、血性の乳頭分泌、乳頭の湿疹やただれなどの気になる症状がある場合は、検診ではなく医療機関を受診するよう案内しています。国立がん研究センター「乳がん検診について」
Aさんがまず探すのは、乳腺科、乳腺外科、ブレストセンターなど、乳房の診療を専門にしている医療機関です。施設によって診療科名は異なりますが、予約時に「乳房のくぼみに気づいた」「症状があるので診察を希望している」と伝えると、検診枠ではなく診療枠を案内してもらいやすくなります。
「婦人科に行けばよいのでは」と考える人もいますが、乳房の画像検査や乳腺疾患の診断を日常的に扱うのは乳腺科・乳腺外科です。かかりつけ医がいる場合は、まず相談して適切な乳腺専門医への紹介を受ける方法もあります。地域で受診先が見つからない場合は、病院の地域連携窓口や医療機関検索を利用するのも現実的です。
「しこりがなければ大丈夫」とは限りません。国立がん研究センターが挙げる主な変化には、次のようなものがあります。
Aさんの「くぼみ」は、痛みがなくても相談の対象になります。一方で、これらの変化があれば必ず乳がんという意味ではありません。乳腺症や線維腺腫など良性の変化でも、しこりや痛みが生じることがあります。重要なのは、自分で原因を決めつけないことです。
乳房は月経周期、妊娠・授乳、加齢などでも変化します。そのため、「生理前だから」「授乳中だから」と説明できそうに感じることがあります。しかし、新しい変化が続く、以前と違う、片側だけに目立つなど、本人がいつもと違うと感じたときは、自己判断で長く待たず相談するほうが安全です。
国立がん研究センターが推奨する「ブレスト・アウェアネス」は、決まった方法で毎月しこり探しをすることではなく、日ごろから自分の乳房の状態を知り、変化に気づき、気づいたら速やかに医師へ相談する生活習慣です。国立がん研究センター「乳がん 予防・検診」
Aさんが乳腺外科へ電話するなら、「左乳房にくぼみがあるように見える。いつ気づいたか」「痛みや分泌物はあるか」「前回の乳がん検診はいつだったか」を簡潔に伝えるとよいでしょう。診察前に、次の情報をメモしておくと説明しやすくなります。
スマートフォンで変化の部位を撮影しておくことが役立つ場合もありますが、写真だけで良性・悪性を判断することはできません。写真はあくまで「いつ、どのように見えたか」を医師へ伝える補助資料です。
乳房の診療では、まず症状や経過を確認し、視診・触診を行います。必要に応じてマンモグラフィや超音波(エコー)検査が行われます。乳がんの可能性がある場合には、細胞や組織を採取して顕微鏡で調べ、診断を確定します。国立がん研究センター「乳がん 検査」
Aさんの場合も、「くぼみがある=すぐ生検」というわけではありません。年齢、症状、診察所見、画像所見を組み合わせて、医師が必要な検査を判断します。検査内容は個々の状況で異なるため、予約時点でマンモグラフィか超音波かを自分で決める必要はありません。
日本の国の指針では、乳がん検診は40歳以上の女性を対象に、原則2年に1回のマンモグラフィが推奨されています。厚生労働省の啓発ページでも同じ対象年齢と間隔が示されています。厚生労働省「乳がん検診」
ただし、この「2年に1回」は、症状がない人が定期的に受ける検診の目安です。Aさんのように新しい乳房の変化がある場合、「2年経っていないから受診できない」「次回の自治体検診まで待つ」という意味ではありません。症状がある場合は医療機関での診療が別に必要です。
「近くのどこに乳腺外科があるのか分からない」「精密検査を受ける病院選びで迷っている」といった場合は、がん診療連携拠点病院などにある「がん相談支援センター」も情報整理の相談先になります。国立がん研究センターによると、がん相談支援センターは、その病院に通院していない人でも無料・匿名で利用でき、がんが疑われる段階から相談できます。国立がん研究センター「がん相談支援センターとは」
ただし、相談支援センターは診察や診断を行う場所ではありません。乳房の変化そのものを評価するには、医師の診察が必要です。
自治体の乳がん検診の対象が40歳以上であることから、「40歳未満なら乳がんについて受診しなくてよい」と誤解することがあります。しかし、検診の対象年齢と、症状がある人の診療は別です。年齢にかかわらず、明らかな変化や気になる症状があれば乳腺科・乳腺外科へ相談できます。
また、男性にも乳がんは発生します。国立がん研究センターも男性乳がんについて案内しており、男性であっても乳房・乳頭のしこりや変化に気づいた場合は「女性の病気だから」と放置しないことが重要です。
架空のAさんなら、次回の検診日を待たず、乳腺外科または乳腺科へ「左乳房に新しいくぼみがある」と伝えて診察を予約する、という流れが現実的です。予約までに、気づいた日、月経との関係、分泌物やしこりの有無、過去の検診歴を整理しておきます。
診察で異常がないと確認されれば、それは今後の基準となる情報になります。追加検査が必要なら、その理由と次の手順を医師に確認します。大切なのは、10月の啓発月間を「がんかどうか自分で判定する月」にするのではなく、「いつもの自分の乳房を知り、変化を放置しない月」にすることです。
一つでも気になる変化があれば、「乳がん検診を受けるべきか」ではなく、「乳房の症状を診てもらえる乳腺科・乳腺外科はどこか」という視点で相談先を探してください。乳房の変化には良性の原因もありますが、見た目や触り方だけで原因を確定することはできません。早めに専門医へ相談することが、不要な不安を長引かせないためにも、必要な検査につなげるためにも役立ちます。
10月の乳がん啓発月間に、しこり・くぼみ・乳頭分泌など乳房の変化に気づいたときの相談先を解説。検診を待つべきか、乳腺外科・乳腺科を受診すべきかを具体例で整理します。
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